2021年06月18日
心だけは取られないでね
キッチンをリフォームした。
ピカピカのピー。
業者さん「展示場に行けばイメージもわきますよ」
周りの人「楽しみやね。ワクワクするね」
そんなもんかと出かけたが
選択肢があるほど選びにくい。
これに決まりましたと言われたらそのまま
受け入れるのに。
何よりそんなきらびやかな場所に自分が不似合いで
居心地が悪い。
ワクワクせん…。
中のものを出し、ゴミを出し、
工事の日を待ち、今に至る。
ピカピカのピー。
汚れたら愛着湧くのかな?
<だだんだだ・・・断捨離>
その部屋は足の踏み場もなかった。
俗にいう「汚部屋」。
部屋主の友人が
「このままやったらあかん。なんとかせな」
と立ち上がった。
防塵マスクに2重軍手。
ゴミ袋をたらふく持って5人が集まった。
部屋主はこのままでも不自由ではなかったが
友人の気持ちがとても嬉しかった。
燃えるゴミはAの袋、缶はB、瓶やガラスはC
「燃えないものも分解して」
「きっちり仕分けして捨てないと」
作業はどんどん進んだ。
トラックは業者に頼んだ。
一杯になったら資源ごみエネルギーセンターに運んでくれる手筈だ。
「お前が口を出したら元の木阿弥だ。
絶対に喋ったらあかん!」
友人にそういわれたからか、
部屋主は隅で膝を抱え、
背中を向け、うなだれている。
必死な友人のおかげで
床が見えてきた。
棚の空きも出てきた。
ゴミ袋でトラックはいっぱいになり出発した。
下ろしたらまた戻ってくる。
すぐにまたいっぱいになり
2回目が運ばれていった。
すっかりきれいになった部屋に
最後に残ったのは
クッキーの空き缶で
その中には万札が無造作に詰めこまれていた。
「これが一番大事なんだよ。
これさえあれば生きていけるからな」
黙っている部屋主を見返って
友人たちは悲鳴を上げた。
背中に大きな穴が開いている!
友人たちは知らない間に部屋主の心も
捨ててしまったのだ。
センターに運ばれた燃えないゴミ袋の中。
超合金の古いロボットに
それは満足そうに寄り添っていた。
Posted by こば at 23:25│Comments(4)
この記事へのコメント
ピッカピカのキッチン
うちの市営住宅のキッチンも新築で入ったからピカピカやったのに
親の代で入ったんやけど…40年も経つと
ピカピカではないけど
それなりに愛着ある\(//∇//)\
片付けやんかったら良かった
って事もあるもんや。
超合金のロボットが側に居て
寂しくないんかも…。
うちの市営住宅のキッチンも新築で入ったからピカピカやったのに
親の代で入ったんやけど…40年も経つと
ピカピカではないけど
それなりに愛着ある\(//∇//)\
片付けやんかったら良かった
って事もあるもんや。
超合金のロボットが側に居て
寂しくないんかも…。
Posted by えのもー at 2021年06月22日 20:28
ピカピカのキッチンも数日たてばそれなりに汚れてきて
ああ、自分のものなのだとわかる。
古いものに対する愛着は
夫婦も似たような感情かもしれない。
ああ、自分のものなのだとわかる。
古いものに対する愛着は
夫婦も似たような感情かもしれない。
Posted by こば
at 2021年06月22日 21:33

僕は最新のキッチンユニットより、割り箸はさんだ流し台、扉のはずれた食器棚に愛着あったなぁ
Posted by ひろぽん at 2021年06月23日 09:06
割りばしには業者の方々も
考えましたねて感服していた(ように思う)。
今は開けないと中のものが取れなくなってしもた。
考えましたねて感服していた(ように思う)。
今は開けないと中のものが取れなくなってしもた。
Posted by こば
at 2021年06月23日 10:01

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